第14章 征十郎とテツヤ
「これはキミの長所だ。生かすことができれば必ず大きな武器になる」
「存在のなさ を生かす…?そんなこと……できるんですか?」
「……悪いが…俺に言えるのはここまでだよ
なぜなら今言ったことはバスケの既成技術を教えるのとは違う。まったく新しい型を生み出すということだ。そのためには自分で試行錯誤しなければいけない
今までにない新しい型を貫くには信念がいる。仮に教えることができたとしても半信半疑でなすぐ折れてしまうからね」
そう言ってバックを取りに後ろに歩く征十郎
え、ちょ、いつからバック持って来てたの
「それに俺自身も練習や副主将の仕事がある。どちらにせよ
手とり足とり教える時間はない」
そんな征十郎の言葉を聞いてか、テツヤは悲しそうな顔をした
ていうか、征十郎の言い方キツいだろう
「とは言えキミに期待しているのは本当だ
だからヒントを出そう」
「1つは、新しいことをやる以上固定概念は捨てること、もう1つは長所はあってもあくまでキミ自身は弱い
生かすのは自身のためでなく、チームのためだ」
「?」
「あ、あともう1つ。これはヒントじゃないか
答えが出てもその実用性はおそらく従来のテスト方式でははかれない
出たら俺の所においで、コーチと主将に推薦して、違う方式でテストしよう」
そう言って帰ろうとする征十郎
・・・え、あ、帰ろうとしている?