第12章 おつかい
考え抜いた末、体育館に戻りなぜか将棋を打つことになった
コーチも「戦略を練るのには大事だ」とか言って許してもらえたのだが、征十郎に教えてもらうときにしか打たないためルールがあやふやで相手になっているのかわからない
「二歩はダメだと教えただろう」
『あ、ごめん』
「持ち駒の使い方を考えて、気をつけるんだ」
『んー』
彼の忠告に従って将棋をどんどん打っていく。とりあえずと龍王を動かして征十郎の歩兵を奪う
「詰み」
『あーまた負けた!』
「名前、声が大きいよ」
『詰みってもう動けないじゃん!。少しは手加減してよー』
「もう1回やろうか」
『いやもうどちらにしても負けるでしょ…征十郎強すぎ』
「そうじゃないかもしれないじゃないか」
『次負けたらあたし、10連敗なんだけど』
「素人にしては食いついている方だよ」
短い溜め息を吐いていると、征十郎が準備をしてくらたのでまた打ち始める
ちょうど休憩が始まったのか虹村先輩があたしの頭に腕と頭を乗せ「分かんねー」と呟く
大変重いが口に出したら怒られそうなので我慢することにした
『…香車がなー』
「苗字、香車ってどう動けんだ」
『どこまでもまっすぐです』
「ほー」
ふと周りを見ると人で溢れていた。コーチまで見ている状況に何しているんだ仕事しろと少し思うが年上なので思うだけでとどめておく
「…苗字」
『どうした青峰?』
「これ意味分かんねぇんだけど」
『あたしも分かると思ってないから大丈夫
相変わらずバスケ以外のルールに興味がなさそうな青峰は置いておき、王将の周りがら空きになってることに気付く
銀将を移動させるかと動かすと、珍しく征十郎の打つ手が止まった
「…それは計算外だな」
『今まで計算内だったの?』
「さあね」
いずれ無双伝説を作る彼に勝てるとは思っていないが、せっかくなら勝ちたいと奮闘する