第12章 おつかい
『…よくわかったね』
「歩き方を見ていればわかるよ」
『荷物が重かったからバランス崩して転んだんだよその時に足首やったかも』
さすがにテツヤを巻き込んだとは言えなくて、黙っておく
ついでに自分の足首にも湿布を貼っとくかと靴を脱ぐと、征十郎が捻っている方の足首を掴む
「見せてくれるか」
『へ、うわっ!』
そのまま彼のももの上に足を乗せられる。その手は靴下越しでも感じる程にとても冷たく、ひんやりとしていた
「失礼するよ」
『ちょ、自分でできるって!』
靴下を脱がし始める彼に動悸が激しくなる。だが征十郎は気にしていないのかそのまま足首を観察していた
「少し腫れているようだ。昔からそういうところは変わらないようだね」
『…すみませんね』
「そいえば、黒子くんはどうだい?」
『テツヤ?うん。見つけたみたい。征十郎が予想している方向だと思うよ』
「予想通りか」
『でも、少し予想外なものも取り入れてるみたいだね』
「…へぇ」
あたしの足首に粘着テープを巻く彼が楽しそうに笑う
『征十郎って未来を見透かせそうだよね』
「まさか。さすがにオレでもそこまでできないよ」
『怖いわ』
実際あたしも原作読んで分かっているから未来を分かってるに等しいけども彼は別だ
考えているとドアが開く音がして、そっちの方向を向くと緑髪のメガネのおは朝信者。いや、緑間が立っていた
「赤司」
「緑間か」
『…なんか緑間に会うの久々な気がする』
「昨日会ったばかりなのだよ」
『そうなんだけどさ』
緑間と訳の分からない会話をし、その視線が右足首を見たときに征十郎が緑間に問い掛けた
「何の用かな?」
「練習ができそうか見に来たのだよ」
「緑間にもバレていたか」
『練習はやめとなって、悪化して何かあったら困るし』
「練習しないわけにはいかないだろう」
『えーそんなこと言ったらあたしもマネージャー業務するよ』
「ダメに決まっているだろう」
『じゃあ征十郎もダメに決まっているだろう』
「真似しなくていいよ」
まあ虹村先輩なら休んでいいと言ってくれそうだし監督も征十郎が嘘つくタイプじゃないことは知っているから問題なさそうだ
しかし1番の問題は彼だ。クラブの時と違い彼は部活を休みたくなさそうだと悩ませる