第2章 目が合うその先の欲望と *
唇に置いていた親指が離れ今度は頬をスリッと撫で上げられゾクリと体が痺れる感覚がした。
これは…不味い…
抵抗したいのに…兵長の熱い視線と声に体が捕まってしまい動けなくて…
そして、兵長は視線を絡めたまま頬から耳へと手を滑らせ耳朶を親指と人差し指でスリと弱くでも愛撫するみたいに撫でられビクンと体が跳ね上がった瞬間 ____ 。
バシャッとお酒が入ったコップを落としてしまい私の太腿を冷たく濡らした。
「あ…っ…ごめんなさっ…」
「…いや、大丈夫だ。だがこのままじゃ気持ち悪ぃだろ?」
その言葉に体が小さく揺れる。
ヤバい…ヤバいって…
警告音が頭の中で鳴り響く。
それなのに…体が熱くて動けない…
兵長はゆっくり私の耳元へと唇を寄せ、熱く甘い声で誘うように囁く。
「、このまま部屋に行かねぇか?」
なんという色っぽい声。
その声が脳を停止させ何も考えられなくなる。
顔が熱い、体が熱い…心臓が煩い。
お酒のせいかな…こんなに早く酔う方だっけ…
でも太腿は濡れて気持ち悪い…。
結局、私は兵長のその誘いにコクリと頷いた。
すると兵長は満足気に口元を緩め私を椅子から立たせるとそのまま姫抱きにされ目が見開く。
「え…!?な…なんでっ…歩けますからっ…」
「静かにしろ。他の奴等が気付くだろうが。」
兵長に言われバッと皆とハンジさんを見れば、お酒を片手に騒いで全くこちらに意識を向けていない。
「っ…ですが…」
「せっかくのチャンスなんだ。邪魔されたくねぇ。」