第11章 この想いを嘘だと言わないで
「オイオイオイ、今度は悪口とは傷付くじゃねぇか。」
「…だって…あんな顔されたら…諦められない…」
そう言うと兵長は深く息を吐き手に持っていた書類をデスクに置いた。
「お前は今までも諦める気ゼロだっただろうが。」
「うっ、それはっ…!」
「…てめぇのそれは好きじゃねぇ。憧れと好意を履き違えてるだけだ。」
「なっ…!?」
今までそんな事言われなかったのにっ…
どうしてそんな事を言うの…?
「っ…私のこの想いは嘘だって言いたいんですかっ…」
「…憧れを好きだと勘違いすることは良くある。特にてめぇみたいなガキの頃は一時の感情に流されやすい。」
「っ…違うっ…!!」
自分でもびっくりするくらいの大きな声が出て、部屋に響き渡るが関係ない。
そんな事分からない程、私は子供じゃない。
兵長へのこの気持ちはっ…!
「憧れとかと…間違えてなんかないっ…私はっ…私はっ…っ」
悔しくて初めて私は兵長の目の前で涙を流した。
どんなに振られても、キツイ言葉であしらわれても…
へこたれることなんか無かった。涙だって…
ポロポロと流れ落ちる涙に構わず兵長の目をじっと見れば、兵長は驚いたように少し目を見開いていて。
私は歯を噛み締めて絞り出すように言葉を放つ。
「す…好きですっ…グズ…大好きなんですっ…ヒック…だからぁ…嘘だなんて…ヒック…言わないでぇ…グズっ…」
嗚咽混じりに伝えると、兵長は軽く舌打ちしそれを聞いた瞬間もう駄目だって頭の中で思ったその時…
グイッと腕が引かれて…次の瞬間には兵長の力強い腕の中にいた。