第2章 目が合うその先の欲望と *
そう聞くと兵長は眉を顰め明らかに不機嫌そうな声で答える。
「あ?構わねぇよ。こんな所まで面倒なんざ見てられねぇ。」
「そうなんですか?」
「ああ。それにこういう時じゃねぇと彼奴も気が休まらねぇだろ。」
兵長はそう言って目線をハンジさんに向けたのを見て私も吊られてハンジさんに視線を向けた。
ハンジさんはお酒を片手にはしゃいで笑って暴れている。それをオロオロとしながら周りの兵士達が止めに入ったり、中にはハンジさんと一緒に騒いでいる者も居た。
確かに、兵長の言う通り今しか肩の荷を降ろせないのかもしれない。
戦場や普段の時は団長として仕切って行かなきゃならないから。
こんな時だからこそ思う存分羽を休めて翌日の為に今目一杯はしゃいでいるんだ。
「…兵長は休めていますか?」
「…いきなり何だ。」
「ちょっと…気になって。」
ハハっと軽く笑い言うとじーと私を見た後、びっくりする発言が飛んできた。
「…そんなに心配ならお前が癒してくれるか?」
「……はい?」
一瞬にして時が止まるというのはこういうことを言うんだろう。
今、なんて言った?この人…
「な…もう…冗談辞めて下さいよ。もう酔って…」
「酔ってねぇし冗談でもねぇ。」
「っ…!意味わからなっ…」
「なら分かりやすく伝えてやる。、お前に触れてぇ。」
そう言って目を見開き固まったまま兵長を見つめている私の頬に手を置き唇に親指を当てた。
それにビクッとすると兵長は動揺すらなく真っ直ぐ視線を向け私を追い詰めてくる。
今…なんて?
ドクンドクンと心臓が煽っていく。
触れたい…って言った…?
頭の中がパニックで固まることしか出来ない。
そんな私をいい事に兵長は距離を縮めてくる。
「っ…まっ…!」
「…」