第9章 愛とこの熱さと温もりの意味【中編△】
今までにない感覚が身体中を巡って…
頭が軽くパニックになる。
こんなこと…無かったのにっ…
何故…?
首筋に男の唇や舌が這っていく中、体をまさぐるように触る手に…
ゾワゾワとしたものが体を蝕み始めて…
早くこの腕の中から逃れたくなる衝動が襲い掛かってきた。
「っん、やっ、だっ…離してっ…!」
「…どうして?あ、そういうプレイ?」
そうじゃないっ…。
抵抗が通じないことにイライラする中、男は関係無しに服のボタンを器用に片手で外し露になった胸元へと手を忍ばせていく。
軽く揉むように触れられれば、何とも言えない気持ち悪さにより一層身を捩る。
嫌っ…触られたくないっ…!
目に薄らと涙の膜が張ると男は空いた手で私の顎を掴み自分の方へと向けさせた。
「…あーあ、なんで潤んでるの。てか、そういう顔見たの初めてだなぁ。」
「っ、離してくださっ…い…お願いっ…」
「…弱々しいキミもそそるねぇ。悪いけど、そのお願いは聞けない。」
ニコッと笑って小さく震えている唇に男の唇が重なった。
前までは嫌だとか、そんな事考えたことなくて寧ろ落ち着いていたのに…何が変わったんだろう?
急な変化に戸惑いと混乱。
だけどそれよりもこのゾワゾワから逃げ出したい。
何とか唇をぎゅっと結び舌の侵入を拒もうとするが、男は私の弱い部分…胸の頂きを指で摘まれた刺激に思わず唇を緩めてしまった。
その隙を逃さず男は私の唇を舌でこじ開け入ってくると絡めるように深く口付けをしてくる。
キスもこんなに嫌な…気持ち悪さに襲われるなんてっ…
パニックと逃げられない状況に溢れ出した涙が頬を伝う。
こんな私…知らない。