第9章 愛とこの熱さと温もりの意味【中編△】
ドクンッと心臓が高鳴る。
優しい声色…。
まただ…この暖かくなるような気持ち…。
ぽかぽかして…何なんだろう、この感情は。
「そ、そうですか。」
素っ気なく返事をし、顔を背ける。
それに兵長は手を引っ込めて口元は緩んだまま。
「あぁ。さっきよりはいい面してる。」
「っ…」
何も言えなくなって唇を噛み締めていれば、兵長は続けるように聞いてくる。
「それで寝る前に言っていた事だが聞いてもいいか?」
「…え?」
「手を握った時、お前は何を感じたんだ?」
ジッとさっきまでの穏やかな表情ではなく真剣にこちらを見つめて聞いてくる兵長に私は目線を合わせて口元が軽く震える。
「…分からない…」
「本当にか?何か感じたからあれだけ震えてたんじゃねぇのか?」
「っ…!そ…れは、、」
「…隠さず正直に教えてくれ。」
踏み込んでこようとする兵長にただ頭の中はパニックで。
今まで一線を引いて関わってきた。
それに深入りはされたく無かったしされると不愉快で仕方ない。
なのに…兵長に対しては不快感があまり感じない。
だからか…自然と唇が開いて言葉を繋いでいた。
「…怖かった…んです。」