第11章 仲間
ーーーーーーーー次の日の夜ーーーー
「…今夜は合同任務だが、。君が先陣をきる勢いで行きなさい。
日ごろの鍛錬の腕試しだ。」
「承知しました。師範!」
近くの山で鬼が出たという報告を受け、
今私たちはその鬼の足跡を追っている。
ずっと鬼特有の気配を感じてはいるのだが、場所の特定までいかない。
その気配は、
近くなったり、遠くなったりしていて
つかみどころがない。
鬼も我々を警戒して移動しているのだろうと、杏寿郎さんは言ってくれるけれど、私はだんだんと焦燥感に追われてきた。
こめかみに汗がつたう。
落ち着くため、大きく息を吸ったその時…
ザッ…!
何かが木から飛び立つ音
(左後ろ……!)
ガキンッ…!!
「くっ…」
私たちが探していた鬼だった。
少し開けた場所に出たところで、向こうから攻撃を仕掛けてきたらしい。
わたしはとっさに脇差を抜き、逆手持ちでそれを受け流した。
トンットンッとその鬼は数歩うしろに飛び、またすぐに木々の中に飛び行った。
「大丈夫か?」
「うんっ…大丈夫、斬り損ねてしまったけれど…」
「初めから斬ろうと思わなくていい。
見えない場所からの攻撃は厄介だが、集中して、一瞬の相手の動きをよく見よう。」
私たちはどちらからともなく、背中合わせになった。
こうして背中を預けてもらえると、すごく嬉しい。
杏寿郎さんに、仲間として信頼されている気がするから…。
多分、今回の鬼は血気術を使うような鬼ではない。
(次姿を見せた時、倒す…!)
私は呼吸を整えた。
私たちを囲む木々から、鬼が飛び交う音が聞こえる。
「…来るぞ」
「…はい」
ザッ…!
「ヒヒッ…」
(炎の呼吸 弐ノ型 昇り炎天…!!)
ザシュッ………ゴトリ…
「はっ…やった、やったわ、杏寿郎さん!」
私の右下に首を斬られて転がる鬼、
舌を出したまま崩れてゆく。