第11章 仲間
太陽が西の山々に入りそうな頃、
夜の見回りがある者たちはそれぞれ任務に赴いていき、
お花見はお開きになった。
炭治郎君にも今日のお礼を伝え、蝶屋敷を出たところで別れた。
杏寿郎さんと一緒に帰り道を歩く。
「実に楽しい花見だったな、。」
「えぇ、本当に楽しかった!あんなに笑ったの、随分久しぶりな気がするわ。」
夕焼けに染まった空の色が綺麗で、
杏寿郎さんがいる方とは反対側を見ながらこたえる。
だからわからなかった。
杏寿郎さんがどんな顔をして、
「…俺は、君の笑った顔が好きだ!できることなら笑っている君をずっと側でみていたいし、その笑顔を俺が守りたい。」
…なんて、恥ずかしいことを言っているのか。
すぐには杏寿郎さんの方を向けなかった。
道の向こうで畑道具の片づけをしているおじいさんに
彼の大きな声が聞こえていないか、ひやひやした。
杏寿郎さんはどんな意図があってこんなことを私に言うのだろう。
いや、優しくまっすぐな彼のことだ。
きっと他の意味なんてない。
私は自分の動揺を悟られないよう精いっぱい表情に気を付けながら彼をみて、
「…杏寿郎さん、酔っぱらってるの?」
としか言えなかった。