第11章 仲間
「わぁ……!」
外へ出て建物の角を曲がると、たっぷりの朱赤色が目に飛び込んできた。
「美しいな…」
杏寿郎さんも目の前の景色に見とれていた。
庭にはサツキだけではなく、カキツバタやあじさいも咲いていた。
「蝶屋敷にこんな場所があったのね…!」
「はい!ここはしのぶさんが蝶屋敷の子たちのために作った場所なんです。」
「そうだったの…」
(柱としての役目に、怪我人の治療だけでなく、屋敷の管理もきっちり行っているしのぶちゃん……本当にすごい子だわ…)
私は彼女の美しい笑みを想像して、改めて尊敬の念を抱いた。
「……も~なにしてるの!」
「……そっちもって~…」
炭治郎君の後をついていくと、なにやら楽しそうな声が聞こえてきた。
「…あぁっ!炭治郎さんだ~!」
「炭治郎さん~!炎柱様とさんもいらっしゃる!」
「こんにちは~!」
「みんな!元気だった?」
「久しいな、蝶屋敷の少女たち!」
「やぁ、すみちゃん、なほちゃん、きよちゃん。みんな揃ってなにしてるんだ?」
そこにいたのは蝶屋敷でお手伝いをしている3人の少女たちだった。
その先にはカナヲちゃんもいた。
彼女たちは梅雨前のこの気持ちの良い気候の中で、お花見をしようと準備をしているのだと言った。
「よかったら皆さんも一緒にどうですか?お菓子もたくさん作ったんです!」
「えっ!いいの? ありがとう!」
おさげが可愛らしいなほちゃんの提案を、私たちは二つ返事で受けた。
「そろそろしのぶさんも来ると思うのですが…」
そう言ったすみちゃんの目線を追った先に、ちょうどしのぶちゃんが現れた。
「あら、皆さんお揃いで。さんもお元気そうでなによりです」
「しのぶちゃん久しぶり!この間は迷惑をかけちゃって申し訳なかったわ…。」
「そんな、気にしないでください、でもまぁ、あの時の煉獄さんの慌てようは忘れられませんが」
「ふふっ、そうね」
「むぅ、仕方がないだろう、あれは緊急事態だった!」
「そうですぇ」
少し、子供のようにむきになる杏寿郎さんがおかしくて
私たちはくすくす笑った。