第2章 逢魔が時
「んっう……」
が次に目を覚ました時には、あの煌々との体を照らしていた太陽はどっぷりと沈んでおり十時の方向に細い月が浮かんでいた。
寝すぎてしまったと起き上がり伸びをしたは辺りを見回すが、一面真っ暗だったので少し強張った。
(休ませてもらったのに悪いけど…ここは少し不気味ね……)
単純に怖いのだ。
真っ暗闇に一人という状況が。
昼間、太陽にやかれて少し爛れかけていた皮膚に手を当ててみるとそこは既に治っていた。
体力も十二分に取り戻すことができた。
「グウゥゥ~~キュルキュル…」
はどこからか突然大きな音が聞こえたのでとても吃驚した。
しかしこれは…のおなかが鳴ったのだ。
「吃驚した……// う~ん、それにしてもおなかが空いたわね…」
記憶のない状態で知らない土地にいるという、緊急事態のわけなのだが、生理的欲求は抑えられない。
ひとまず灯りのある街の方へ歩いてみようと、はそっと拝殿から降り出でて、昼間に見た狛犬のところから街を見下ろした。
どうやらこの神社は高台にあるようで、ここからだと街を一望できるのだ。
(あそこに光が集まっているわね…中心街かしら…
少し距離がありそうだけれど歩けなくはなさそうね)
はその光が集まるところを目指し、目の前の階段を下りて行った。