第2章 逢魔が時
(う…っ……あぁ…頬が……痛いわ………灼けているよう……)
「……はっ…!!……ここ…は、どこなの…?」
は横たわっていた体を起こし、
朦朧とする頭で、今自分が置かれている状況を把握しようと考える。
目の前には狛犬がおり、目下にははるか下へと向かう階段がある。
身に着けていた、白地に水色で菊の模様が施されている着物は、土と……なにやら赤いもので汚れていた。
何の気なしに、は自分の体を支えていない方の手、左手の甲で自分の左頬をぬぐった
ヌチャッ……
「えっ…?」
頬には何かの液体が付いていた。
確認するためは左手に目を向けるとそこには血液と思われるものが移っていた。
しかし頬だけでなく、自分の体が傷ついている様子は感じられない。
(どういうことなの……)
は自分の身に何が起きたのか必死に考えようとするが、その頭の中は霞がかったようで一向に答えをみせてはくれない。
一方で、の頭上高くにある太陽は、の目覚めを祝福するかのように烈日と照り輝いていた。
(…日光にあたり過ぎたわ……どこか陰になるところへ移動しなくては……)
あたりを見回したは、拝殿の扉が少し開いていることに気が付いた。
(あそこで少し休ませてもらおう…)
太陽の下に長時間いたことから、は大きく体力を消耗してしまっていた。
今は体力の回復が最優先と判断したは拝殿に入るとすぐに、眠りに落ちた。