第1章 追憶
あの日、私は……………私たちは、鎹鴉から鬼の出現の知らせを受け、
鬼殺のためとある地に向かっていた
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「わぁ…!稔さん、見てください!夕焼けがとってもきれいです!」
は、山々の間に落ちてゆく陽の方、西の空を指さしながら、
兄弟子である 稔 に声をかけた。
「あぁ、本当だな、きっと明日は良い天気になるだろうな。よし!明日は久々の非番だろう、せっかくだから逢藤山にでもいこうか!」
「えぇ!やった~! それでは私、お弁当を用意しておきますね、山頂でゆっくり食べましょう!」
「あぁ!ありがとう、それは楽しみだな。よろしく頼むぞ!俺は他の必要なものを揃えておく。」
逢藤山とは、山頂までなだらかな道が続いている小さな山である。
加えて道中は藤の花が一年中狂い咲いているため、物見遊山に多くの人が訪れる人気の場所だ。
(このところ任務が続いていて、あまり休息が取れていなかったわ…
でも私なんかより、自分のことは後回しでいつも周りの隊士たちを気遣い、鼓舞してくれている稔さんの方が、ずっと疲労がたまっているはず…
明日のお弁当で、なにか精の付くものを食べてもらおう! )
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私には昔の記憶がない。
約1年前、私は知らない土地の、知らない、古びた神社の境内で転がっていたのだ。