第9章 こんにちは千寿朗君
「年も近いだろうから、敬語も必要ない!」
「…それは…。」
…どうなのだろう。
「やはり、師弟の上下関係を明確にさせるためにも必要ではないのかと思うのですが…」
「ははっ!それも大切だが、これから共に生活をしていくのだ。俺は君との仲を深めたいと思っている。いけないか?」
私の顔を覗き込むように顔を傾ける煉獄さん。
彼の髪の毛が縁側に差す日光に透けて柔く輝いている。
…お日様みたい……
「?」
「あっ、いえ。わかりました。……じゃあよろしく、ね?」
杏寿郎。と続けようとしたが、恥ずかしくて言えなかった。
ーーーーー
…言ってしまった……
仲を深めたいから敬語はいらない。
半分本心だが、半分は嘘だ。
隣で千寿朗に優しく話しかけるを見ていたら、その笑顔を俺にも向けてほしいと思ってしまったのだ。
いつもの俺らしくない発言に千寿朗は何か気づいただろうか…
わずかな動揺も見せまいと、息を吸い込みながら千寿朗を見やる。
「わぁ、俺…なんだか姉上ができたようでうれしいです!」
千寿朗とはどうやら馬が合うらしい。
先ほど初めて顔を合わせたはずなのに、もう互いに打ち解けている。
「ふふっ私も嬉しいわぁ。れん…杏寿郎、さんも、こんな可愛らしい弟さんがいて幸せね。」
「…うむ!自慢の弟だ!」
…今のは動揺した。かもしれない。