第7章 夢か現か
「……ふふ、ありがとう! 実は、その時にちゃんの体のことについても伺ったのよ、すごく力があるんですってね!わたしもなのよ~!」
お互いの特殊体質の話から、最近町にできた甘味処の話まで、いろいろな話をして盛り上がった。
二人はすぐに仲良くなり、もし時間が合ったら一緒に街へお買い物に行きましょう!という約束までした。
どのくらいそうしていただろうか、
は体質上、"のぼせる"ということはないのだが、
そこの勝手は蜜璃とは違ったらしい。
蜜璃がのぼせかけてしまったところで、二人は急いで温泉からあがった。
石段を下りたところで、隠の人が蜜璃に話しかけた。
刀の準備ができたらしい。
「あら~もう行かないといけないみたい、、それじゃあちゃん、次に会えるのを楽しみにしているわねっ!」
「うん、また鎹鴉で連絡するわね。」
笑顔で手を振りながら去ってゆく蜜璃に
も手を振り返して微笑んだ。
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杏寿郎は温泉に浸かりながら、のことを考えていた。
彼女が自分の継子となったことは嬉しいのだが、どのように稽古をつけようか悩んでいるのである。
彼女は自分とは違い、素手でも鬼と戦うことができる。
そうなると、剣術だけではなく
の力を最大化させられる独自の戦法があるのではないかとも思えるのだ。
「うーむ……」
杏寿郎は腕を組み、温泉の縁に寄りかかった。
自身の汗がこめかみを滴るのがわかる。
それにしても、なんだかいつもより心拍数が上がっている気がする。
温泉で温まったからというのもあるだろうが、それ以前、
ここに来る道中でが自分の顔をチラチラとみていた時。
番傘でばれないと思っていたのだろうか、何か言いたいことがあるのだろうに話しかけてこないに杏寿郎から声をかけた時からだ。
胸の奥がぞわぞわして落ち着かない感じがするが、
これは恐らくの雰囲気が自分の母親、瑠火によく似ているからであろう。
幼い時の、母親の側にいる少し緊張した感覚を思い出したからだと思い、杏寿郎は湯船から上がった。