第7章 夢か現か
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私は今、新しく打ってもらった刀を受け取りに、刀鍛冶の里にいる。
そこは大変複雑な方法で隠されているらしく、ここに着くまで目隠しと耳栓、鼻栓をし続け、隠の人に代わる代わる背負われて長い道のりを進んできた。
里に着いたらまずは長へ挨拶をしなくてはならない。
それが礼儀というものだ。
長のいるところまではもう少し、歩かなければいけない。
隣には…煉獄さんがいる。
彼の新しい刀は先週届いたのだが、少し調整が必要だったらしい。
彼もまた刀鍛冶に刀を預けており、その受け取りにゆくのだ。
先日、お館様から番傘を拝受した。
日光に弱い私のために、作ってくださったらしい。
その軽く、私の赤みがかった瞳と同じ色のそれは、すぐに私のお気に入りとなった。
番傘を少し傾けて、斜め上にある煉獄さんの顔を気づかれないよう覗く。
広い肩の上にある凛々しく男らしい顔。
燃えるような瞳は彼の心のように、まっすぐと前を見据えている。
(こんなに素晴らしい方の継子だなんて…私にできるのかしら…)
少し自信がなくなり、俯いた私に彼が言葉を発した。
「……と呼んでいいか?大丈夫か?」
「えっ?はい!大丈夫です、少し緊張してしまって…」
「はは、これから刀鍛冶の長に会いに行くのだもんな、致し方ない。俺の側についていなさい。そうしたら安心だ。」
この人のこういう…兄貴的なところ、
正直慣れない。
鼓動がいちいち早くなるのだ。
鬼殺隊士なるもの、いついかなる時も集中していなくてはいけないのに…
もやもやとそんなことを考えているうちに長のところに着き、私たちは挨拶を済ませた。
想像以上に小柄で温厚な長の勧めもあり、私たちは裏山の温泉にそれぞれ入ることにした。
「それでは、また夕食でお会いしましょう。」
「うむ!それではな!」
私は彼に頭を下げ、流れてくる温泉の匂いを楽しみながら
目的の場所へ小走りした。
ーーー
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「う~~~ん……気持ちいい…」
温泉の何とも言えない心地よさを堪能していると、後ろからすごく視線を感じた。
…のぞきかと振り向くと、
そこには可愛らしい、ピンクと黄緑色の髪の毛をおさげにしている女の子がいた。