第7章 夢か現か
その頃、お館様からお呼びのかかったは、産屋敷邸のある一室で産屋敷耀哉と対面していた。
「よく来たね、。体の具合はどうだい?」
「は、はじめてお目にかかります。お陰様で怪我も完治し、体調も頗る良いです。今晩にでも任務に向かえます。」
そういうに耀哉は微笑んで、
「うん、それは良かった。でも君の刀は、今刀鍛冶に打ってもらっているところだから、もう少し待たないとね。」
緊張のあまり刀のことを忘れていたは、耀哉の言葉を聞いて赤面した。
「せっかくだから、刀を受け取りに行くついでに温泉に入ってくるといい。刀鍛冶の里にはいくつも温泉があってね。
ゆっくり休んで、力を蓄えるといい。」
「…ありがとうございます。お言葉の通りに致します…」
耀哉からは改めて、斎巖の討伐及び猗窩座との戦いへの加勢を労う言葉が贈られた。
続けて、のその特殊体質を、ぜひこれからも人を守るため、鬼殺のために使ってくれないかと…
「……君は、神様に選ばれたんだよ。」
は、本当にそうなのだろうかと
心がざわつくのを感じた。
脳裏にはあの夢で見た、女性が殺される光景がちらつく。
「…それでだ、君のその才能を最大限に生かすために、炎柱の煉獄杏寿郎の継子になってはみないかい?」
予想だにしなかった人物の名前を聞いて、の心臓が跳ねた。
(煉獄さん……継子………)
突然のことに言葉を発せられずにいるに耀哉は、
「ふふ、困らせてしまったみたいだね。でも悪い話ではないと思うんだ…」
自分はそんなに困惑した顔をしていたのだろうか、否違う。
は嬉しかったのだ。
「…光栄でございます。謹んで、お受けしたいと存じます。」
また、あの人に会えると…
「そう言ってくれて嬉しいよ。君もそうだろう?杏寿郎」
耀哉が隣の座敷に向かって話すのを、が目を見開き一瞥すると、その襖がスパッと開き
そこには件の彼、煉獄杏寿郎が正座していた。