第7章 夢か現か
次の日・午前
この日は臨時で柱合会議が開かれ、鬼殺隊の柱たちが産屋敷邸へと召集された。
「お早う皆。今日はとてもいい天気だね。
今回は急な召集にも関わらず、皆が駆けつけてきてくれたこと、嬉しく思うよ。」
お館様こと産屋敷耀哉が、相変わらず穏やかな声色でそう言う。
「お館様におかれましても御壮健で何よりです。益々の御多幸を切にお祈り申し上げます。」
「ありがとう、しのぶ。」
今回の臨時柱合会議の議題は、無限列車での下弦の壱討伐成功の報告、及び上弦の参との対峙についての詳細・情報共有ということだ。
その子細は、当事者である杏寿郎によって語られた。
「…………また、その女性隊士は、現在蝶屋敷で療養中とのことであります。」
杏寿郎がことのあらましや猗窩座の特徴、加勢したについての話を終えたところでしのぶが、
「その隊士ですが、昨日目覚められました。怪我はすでに完治しており、すぐにでも任務に出られる状態です。」
「そうであったか!うむ、実にめでたいな!」
杏寿郎が安心したようにそう言う。
「なんだぁ?そんな派手に攻撃を食らったくせに、もう完治したのか?派手派手な隊士もいるじゃねぇか、お目にかかりたいねぇ」
そう興奮したように話すのは、目の周りに派手な化粧を施した銀髪の隊士、宇随天元だ。
「素手で上弦の鬼と戦うたァいい度胸してんじゃねぇか。」
「彼女、さんは、恐らく特殊体質です。お館様、その点に関してご説明いただいてもよろしいでしょうか。」
傷だらけの体に上半身の隊服を豪快に開けっ広げている隊士、不死川実弥が唸るように言ったことに、しのぶが反応した。
「そうだね…皆の中で、"白羅族"という名前を聞いたことのある者はいるかな?」
「…白羅族……?」
時透無一郎が、今起きたかのように呟く。
皆、知らぬという顔をする中で、一人だけその名前に反応した男がいた。
「…昔、祖父から聞いたことがあります。最恐の傭兵部隊、白羅族……でも、彼らは絶えたのではなかったのですか…?」
宇随だった。
あの、いつも堂々としている彼の顔が、少し青い。
「うん、私もそう思っていたんだけれどね…………」