第5章 遭遇
自分の体の下に生暖かい液体が広がっていくのを感じる。
炎柱の彼が、まだ何か叫んでいる…
でも…耳も、だんだんと聞こえなくなってきてしまった…
(「生きろ」…か……………なんだかこの感じ、覚えがあるわ……)
何かを思い出しそうになるが、気力の限界が来た。
私は、ふと 意識を手放してしまった。
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そのころ猗窩座は…
(くそぅ…くそぅ……!梃子摺った、早く太陽から距離を…!)
(…なんなんだあの女は!?あの人間の範疇を逸した強靭な体……!俺の腕が鳩尾を貫通してもなお、あれ程の力を…
……そうか……わかったぞ。あの女はあの一族の末裔だろう……だが、やつらはあの方々が殲滅しつくしたはずだが…生き残りがいたとは……)
猗窩座は顔面にいくつもの青筋を立て、林の奥の闇に吸い込まれるように走り去っていった。
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「……………っ!っ…!あなたは、生きるのよ…生きて、どうか…幸せになって…。悲しいことは、全部忘れて……私たちのことも、忘れていいから………生きて…」
(…誰……)
私は今、暗い、蔵の中…?にいるようだ。
目の前には自分によく似た雰囲気を持つ女性がいる。
でも彼女は血だらけで、愛おしそうに私の頬を両手で包み込んでいる。
「ふっ…ふっ………そんな……」
私はなぜか、とても焦っている…
女性がなにか、呪文のようなものを唱えると、私の体はふと、その場からなくなった……
……でも…覚えている、
私は消える前に見たのだ。
その女性が、"何か" に殺されてしまうところを……
「お母さん……!!!」
私は思いがけず、そう叫んでいた………