第5章 遭遇
あぁ……あぁ…!!
炭治郎は目の前の光景に……
絶望した…
*
猗窩座の拳が炎柱の彼に届く前に、私は両者の間に滑り込んだ。
腹部に今まで感じたことのない激痛が走る。
猗窩座の右腕が私の鳩尾に貫通していたのだ。
全身の細胞が生命の危機を感じて震える。
あまりの衝撃に目の前が真っ暗になる。
しかしまだ戦いは終わってないのだ。
「くっ…うぅ……」
私は両の足を大きく開いて体制を低くし、猗窩座の腕が抜けないよう両手でがっしりと押さえつける。
(この鬼を……ここに留めれば、……きっと……)
そう思い終わる前に、私の後ろの人物が猗窩座の首めがけて刀を振り下ろした。
刀が首に入る……が、
猗窩座は杏寿郎に左腕で殴りかかる。
しかし杏寿郎はその拳を、刀を持っていない方の腕で止める。
血が逆流して口から止まらない。
でも、
(絶対に、離さない……!!)
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお」
「ああああああああああああああああああああああ」
二人の雄叫びが響く
私は気を保っているのがやっとだった。
東の空が明るくなってきた。
じきに日の出だろう、
(もう……少し………!!!!)
朝日が山の間から出てくるのがこの上なく長く感じた。
しかし…皆の願いは届かなかった……
ズンっっドォン!!!!!!!!!!!
猗窩座は思いきり地面を蹴りつけ、自ら、自身の両腕と杏寿郎の刀をもぎ取り林の中へ逃走した。
支えを失った私は前のめりに倒れ込んだ。
(追わ……なくては………また……誰かが傷つく………)
先ほど私の刀を託した少年が何か叫んでいるのが聞こえる……
目の前にはあの炎柱の顔があった
「死ぬな…!…生きろ!!!生きてくれ…!!!」
私を抱え頬に手を添えて叫ぶ。
(あぁもう…どうか…そんなに大きい声を出さないでほしい…
あなただって…こんなに大きな怪我をしているのだから…)