第4章 我武者羅
「あぁ………あなたは………」
「…もう、お体は大丈夫なのですか…?」
この人がずっと、私の看病をしてくれていたのだろうか。
お礼をしなくてはと姿勢を整え、
「おかげさまで、この通りピンピンしています。本当にありがとうございました。」
また、涙が出そうになるのをぐっと堪え、微笑みながらお辞儀をした。
彼女は少し戸惑った様子で遠慮ぎみに、
「それなら良かったです、半月前あなたがここに運ばれてきた時、とても酷い様子でしたのですごく心配をしていました……それに、あんな大きな怪我をしてらしたのに…もう歩けるようにもなっているなんて…」
彼女の瞳からは、信じられないというような色が見受けられた。
言わんとしていることはわかる。
私はただ、
「…そういう、体なので…」
とだけ言い、ここはどこなのか今更ながら彼女に尋ねた。
ここは、"藤の花の家紋の家" という
鬼に狙われたところを鬼殺隊に助けられた過去を持ち、鬼殺隊の誰もに無償で尽くす事を約束してくれている一族の家だそうだ。
斎巖と戦った地からほど近く、
また、重病人の受け入れにも対応していることから私はこの家に運ばれたらしい。
彼女は続けて、
「お館様から、どうかさんには、傷が癒えるまでここでゆっくり休息を取ってほしいと、言伝を預かっております。お好きなだけ滞在してくださいね。」とも言った。
「あのっ、お館様とは…?」
私はすかさず訊いた。
「お館様は、鬼殺隊の最高管理者です。この間も、さんのお見舞いに来られていましたよ」
そう…だったんだ……そんなお方がわざわざ……
私が寝ている間、誰かが側で声をかけてくれていたような気がするが、よく覚えていない…
「…そうですか……ありがとうございます。それでは、お言葉に甘えさせていただきます…」
有難いわ…
私は再度、深くお辞儀をし、部屋へ戻った。