第17章 駆られる ※
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「くはっ……はっ…は……!!」
湿っぽい空気の中、は目を覚ました。
体はじっとりと汗をかいている。
今は早朝だろうか。部屋の中に僅かに柔らかい陽光が差している。
「いっ……」
身を起こそうとすると、下腹部に切れるような痛みと、膣からドロっと何かが出る感覚がした。
何が、自分の体に起こったのか。
「……っ!!」
数刻前であろう鬼との行為が脳内に蘇り吐き気がこみ上げる。
それだけではない。
今夢で見ていた光景。あれは夢じゃない。
…全部……思い出した。
はっきりと……。
家族の顔も……あの、化け物の顔も……!!
「う…ぅ……」
体中の細胞が絶望でそば立ち胃が痙攣するように不快だ。
怒りで言葉にならない声が口から出る。
鬼……さえ、いなければ…
大好きだった家族の笑顔が浮かぶ。
「ふっ……ふぅ…」
息が吸えず、浅い呼吸を繰り返していたからか、視界がぼやけてきた。
稔さん…鬼殺隊の皆……杏寿郎さん……
空の胃は異物を吐き出そうと収縮する。気持ち悪くて吐くが、ただただ胃液が出るだけで。
瞼を開けていられず、視界も暗くなった。
「白羅族でしょ?」
「…!!」
突然、脳内に童磨の声が響いた。
…そう。白羅族……。
人殺しの一族。
暗闇の中で私は皆と、杏寿郎さんに囲まれている。
だが皆の視線は、まるで鬼を見る時のそれだった。
「待って!!」
皆、私に一言も声をかけず背を向け去ってゆく。
「待って……杏寿郎さん…!!行かないで!!」
杏寿郎さん…。どうしてあなたまでそんな顔をするの…?
「お願い……ひとりにしないで………」
いつでも傍にいてくれた、私の太陽……。
杏寿郎さん…、こんなに愛おしいのに……。
「はっ…はっ…」
息が……苦しい…。
プッ………
はまた、気を失った。