第17章 駆られる ※
「何して…っ!」
「だからさ、俺のお嫁さんになってよ」
は?と意味不明なことを言う童磨を思いきり突飛ばそうとしたが、
私の腹の上にまたがりあの脇差しを手に持つ姿を認め、抵抗をやめた。
「鬼と……白羅族の間に産まれる子供って、最強だと思わない?…無惨様の次に、だけど。興味あるんだよね。」
「……それに俺、君の匂いがたまらなく好きでさ……」
そう言いながらの両腕をとり頭の上で固定し、
「ぁ……くっ!ぅ…」
左の二の腕に刃を滑らせ流れる血を舐めとる。
「ん……やっぱり…好きだなぁ」
はぁ、と、
私の血でだろうか、唇は赤々と染まり、蕩けた目でこちらを見下ろす童磨に一瞬……綺麗、と思ってしまった…。
「これ、危ないから捨てとくね?」
「やめ、て」
脇差しを放り、再び近づいてきた顔に必死に抵抗をした。
だがそんなことは取るに足らないのだろう。
童磨の瞳はそれまで"人間"らしかったものから変化し、その虹のような七色の光の中に"上弦 弐"の文字を見とめた。
……絶望した。
この童磨という鬼はあの無限列車の鬼、猗窩座よりも強いのか。
私はこれからどうなるのだろう。
混乱している。
天井の梁さえも、どこか他人事のように私を見下ろしている気がした。
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