第16章 暁闇の元
*
「継子を…辞めさせていただきたく。」
「ちょ、ちょっと待て!」
待ってくれ、は好きと言ったか?俺を?
だから継子を辞めたい…と…。
勝手に申し訳ありません、今後はひとりで…などは話を続けるが、呆気にとられた俺は耳にした情報を間違っていないか何度も脳内で整理していた。
「」
話を遮り彼女に向き直り、袂からあの小箱を取り出す。
「君に、そんなことを言わせてしまい…すまない。継子を辞めることは、考え直してくれないか?」
「……え?」
訳が分からない、とでも言うようにの顔に困惑の色が映る。
「俺は…が好きだ。ずっと前から…。や、無限列車で初めて会った時から、俺は君に惚れていたと思う。」
の瞳の中、祭りの灯りが揺れる。
「四六時中、のことが頭から離れない。君は強く聡明なのに、任務の帰りが少しでも遅いと狼狽えてしまう。君を前に俺は弱い。……ただ、誰よりも、俺は君の幸せを願っている。」
ぽろぽろと、の真っ白な頬に涙が伝う。
その涙をそっと、優しく指で掬ってやる。
「……願うだけでなく、一緒に、日本一の幸せ者になってくれないだろうか?」
が頬に添えられた俺の手を握る。
「結婚してくれ、。」
「………はいっ…!」
左手で口元を押さえ、何度も頷いてくれる。