第16章 暁闇の元
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「!!!!!」
思った以上に大きな声が出て、自分でも驚いた。
玄関はどこかと家の周りを歩いていると、縁側の方の戸が開いているのに気がついた。
人の気配もしたので、冨岡かと思い近づくと…。
冨岡がに覆い被さっていた。
全身の血液が逆流する程、気が動転した。
「……今は稽古をしているのか?」
抱き合うように縺れたふたりを見て、憤慨しそうだ。
いや…もうしているのかもしれない。
「いえっ、今は、倒れた私を義勇さんが庇ってくださって…」
冨岡が自分の羽織をの上で脱ぎそのまま彼女に掛けた。
……なんだ、その行為は。
もそれを自然に受け取り身を起こす。
俺はに駆け寄り、日光から彼女を守った。
濡れ髪のなんて誰にも見せたくなかった。
しかもなぜ冨岡の着流しを着ているんだ…。
*
「あまりを日にさらすな」
日に当たっていた私の体を気遣ってか、杏寿郎さんは自分の陰に私を入れる。
杏寿郎さん…怒っている……。
淡々と話す杏寿郎さん。
こんな様子は初めてで、どうしたらいいかわからず今度こそ何も言えなかった。