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【鬼滅の刃/煉獄】真冬の夜の夢

第16章 暁闇の元








「姉が……殺された時の夢を…みていた…」


「……鬼…ですか…?」


「ぁぁ…」


冨岡さんは俯いたままポツリ、ポツリと話してくれた。

お姉さんは祝言を挙げる前日に、冨岡さんを庇い目の前で鬼に殺されてしまったと。





「……すまない、こんなつまらんこと…」

「いえ…!」


つまらなくなんか、ない。

稔さんの事が浮かんだ。
鬼から私を庇い、その後……

稔さんは兄弟子だったけれど、私は本当の兄のように慕っていた。

私もいまだに彼が亡くなった時の夢をみる。
恐怖で目が覚めると全身じっとりと汗をかいており、その汗が空気に触れる冷たさが、それが現実であったことを実感させる。

本当に嫌だ。


実のお姉さんを殺されてしまった冨岡さんの悲しみは、悔しさは、きっと私のそれ以上に深いものだと思う。

その悲しい痛みを想像すると、胸が引き裂かれるなんてものじゃない。



冨岡さんに自分の姿を重ねた。


……私たちは、共に孤独なのかもしれない。













繋がっている俺の右手をは胸元に寄せ俯いた。


温かい。の体温。

酷い夢だった…
もう何年も前の事なのに、その夢は俺を簡単にあの日に連れ戻すように現実的だった。


稀に見るこの夢。目覚めた時、大量にかいた汗に体を冷やされるのが苦手だった。
姉さんがいない現実を突きつけられるようで…。


だからか、腕から伝わってくるの体温に心が落ち着く。


礼を言おうとしたとき、彼女の寝巻きにパタと水が落ちる音がした。
が泣いていた。


彼女は俺の手を離さず左手で頬を押さえるようにして涙を拭く。
左手を伸ばし、同じように右頬を押さえてやる。



「なぜ泣いている」


片手に収まってしまいそうな彼女の頬はひんやりとしていて
手に吸い付くような…。美しくてそれはいつか食べた白玉のようだった。



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