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【鬼滅の刃/煉獄】真冬の夜の夢

第16章 暁闇の元







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冨岡さんとの生活はそれから五日、十日と過ぎてゆき
私もまだ付け焼き刃だが水の呼吸の型を会得できてきた気がする。

鬼を前に型として使えるかは分からないが、水の呼吸の足運びや呼吸法を炎の呼吸と組み合わせて、なるべく消耗の少ない動き方を見つけることができた。





今は夜。
日が沈み、東の低い位置に重たそうな月が出ていた。


(杏寿郎さんは…そろそろ帰ってくるだろうか…)


今夜は冨岡さんの担当地区の警備に同行している。

少し前を歩く冨岡さんをぼんやりと見つめながらそんなことを考えた。
久々に柱と一緒に行動する心強さが、杏寿郎さんの隣を歩いていた時を思い出させた。

だが一緒にあの女の子のことも思い出し、腹に重い石が詰まったような気持ちになる。


「」

「ぁ、はい!」

「俺から離れるな。鬼の気配がする。」

冨岡の声で現実に戻ったはコクリと頷き、指示通り彼の側に寄る。

静かな空気は涼しく、一方で昼の間温められた地面からの熱気をじわじわ感じる。




「!」

ヒュン、と民家の陰から飛び出てきたのは少女だった。

彼女はひどく怯えており、冨岡さんの足元にすがりつく。


「た…た、たす、けて…」


体から絞り出したような声。

…鬼が、いる。


冨岡さんは屈み、少女の肩に手をのせ"わかった"と励ますと、次に私を見て目で合図をした。


"できるか" そう問われた気がした。

冨岡さんに教示していただいた剣技を、実戦で、彼の目の前で体現する。

緊張が走った。
姿勢を正し、脇差しに手を添え
鬼が潜んでいるであろう家に向き直る。


…… 一歩…二歩…三歩…

「…!」


鬼がいた。出てきた。大きい。
しかし、私たちに気づいていないのか反対側にのそのそと進んでいる。

…が、鬼はピタリと足を止めた。

(なんなの…あの鬼は…)


カチャ…

斬りかかろうか、私は刀の柄を握り右足を大きく前に出した。




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