第14章 琴線に触れる
「はは!元気がいいな!」
杏寿郎さんは部屋に残って、私と禰豆子ちゃんが日陰から少年たちの様子を見られるよう、襖を全部開けてくれた。
日の光が眩しくて目を細める。
飛行機は良く飛んだようで、みんなのはしゃぐ声が聞こえる。
「イカ飛行機か…お兄さんから教わったのか?」
「え…?」
お兄さん…?杏寿郎さんは何を言っているんだろう。
杏寿郎の方に顔を向け、目を合わせる。
「…君には、兄がいるのではと思うのだが…何か思い出すことはないか?」
「…兄……。いるのかも、しれない…。でもわからない…。なんであの飛行機の折り方を知っていたのかも…わからないわ…。」
杏寿郎から視線を外し、目を伏せる。
どうして杏寿郎さんは私の家のことを、家族のことを聞くのだろう…。覚えてないことは彼も知っているだろうに…。
今の聞き方、彼は何か知っているのだろうか。でもなんとなく怖くて聞くことができない。
…そもそもなぜ私にはここ2年程の記憶しかないのだろう…。
私は…私自身のことを何も知らない…。
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作者です!
ここまで真冬の夜の夢を読んでくださり本当にありがとうございます(*´▽`*)
ここしばらくふわふわとしたお話が続いておりますが、各所に今後の展開に重要な伏線を置かせていただいておりますので、楽しみながら読んでいただけたらと思っております…!(イカ飛行機は結構重要です…!)
次の章より物語に波が立ってくる予定です。
引き続きよろしくお願いいたします!