第14章 琴線に触れる
ん?と胸元の禰豆子の方を見ると、"おまもり"と書いた紙をひぱってこちらを見上げていた。
そのままぴらっと紙を畳の上に置いて、半分に折り始めた。
「折り紙するの?」
「む♪」
「じゃあ私も…そうだ、イカ飛行機でも折ろうかしら」
「イカ飛行機?初めて聞きます!」
「イカ?!今度こそ食いもんだろ!、早くくれ!」
「もうっ伊之助くんはお腹空いてるの?紙飛行機の種類の事よ。炭治郎くんも、今折るからちょっと待っててね。これ、すごく遠くまで飛ぶのよ」
ぶーぶー騒ぐ伊之助に笑みをこぼしながら文机の上で紙を折る。
禰豆子ちゃんはチューリップを折っているようだ。
それまで騒がしい伊之助たちに圧倒されていた千寿郎も、の手元の紙がどのように飛行機に変わっていくのか好奇の目で見つめている。
杏寿郎もこの状況を楽しんでいるようで、なんだかも嬉しかった。
みんなでこうして集まって楽しく過ごすのは良い。
心が晴れやかになる。
…そういえば、私はなぜイカ飛行機の折り方を知っているのだろう。
昔…子供の頃、私より少し年上の男の子に教えてもらったような気もするけれど、確信がない。
晴れていた心にポツン、ポツンと墨汁が垂れていくように不安がじんわり広がっていく。
「…さん?」
「…ん?…あっ…できた!」
善逸くんに声をかけられ、手元のイカ飛行機が完成していることに気がついた。
伊之助くんに庭で飛ばすよう促すと、「猪突猛進!!」と言いながら飛び行ってしまった。
「俺も見たい!」
と、任務の時とは打って変わって年相応な男の子のように
炭治郎くんと善逸くんも駆けてゆき、千寿郎くんもそれに続いた。