第14章 琴線に触れる
「むー!」
「あら、禰豆子ちゃん出てきてくれたの?今日もかわいいわねぇ」
「むんむん♪」
ニコニコしながら禰豆子がの膝の上に移動する。
ふんっ! と、まるでそこが自分の特等席かのようにくつろぐ禰豆子に炭治郎があわてるが、はいいのよと声をかける。
「ん?なんだこの白いの!食いもんか?………り?」
伊之助がの枕元にあったお守りに気づいた。
「うふふ、食べ物じゃないわよ伊之助くん。それはお守りよ」
「ちっ、ぉ、俺は字が読めねぇんだよ…」
お守りの説明を善逸に任せ、は文机の上の紙に"おまもり"と文字を書いてみせた。
「その猪の被り物が、きっと伊之助くんのお守りね」
「ほぉお…」
ほわほわとしている伊之助の一方で、炭治郎がのその紙を覗く。
「わぁ、さんの字、すごく綺麗ですね…」
急にそう言われたので、そうかなとは首を傾げた。
「本当だな、の人柄ようだ。たおやかだが力強い。字は人柄を表すと言うだろう?」
「もう、杏寿郎さんまで…」
あんまり言われるとくすぐったい。
しかし確かに、の字は止め跳ねが大胆で、
どちらかというと男性の字のようだった。
「の生家は、もしかすると武家だったのかもしれないな!」
(私の生家…気になってはいたけど、あまり考えないようにしていた…)
「…ふふ、そしたら煉獄家ともお知り合いだったかもしれませんね」
なにか心に引っかかりを感じ、考え事をしていただったが、むーむー と禰豆子に呼ばれ我に返った。