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【鬼滅の刃/煉獄】真冬の夜の夢

第14章 琴線に触れる


(三人称)





午後、鍛錬を終えた杏寿郎は汗を流し
縁側を歩いていた。

太陽は高い位置にあり、何もしなくても自然と汗が出てきてしまう。そんな日だった。



(…はいつも…先程のような、うなされるほど怖ろしい夢を見ているのだろうか…。倫也兄さま というのは恐らく彼女の実の兄だ。)

(よもや…、彼女は家族のことを、過去を思い出してきているのでは…。)


杏寿郎は今朝が再び眠るのを見届けてから
ずっと、そんなことを考えていた。




冷えた水が飲みたい と思い、台所へ向かう。

途中、が休んでいる部屋に千寿郎の背中が見えた。

が起きたのかと思い杏寿郎は向かう。




ーーーー




「さん…!」


の目覚めに気がついた千寿郎は
身を起こした彼女に襖のところから声をかけた。


「千寿郎、くん…!」

「あっ…」


千寿郎の顔を見てほっとしたのか、はそのまま前に倒れそうになった。
しかしすんでのところで千寿郎が支えたことで、は倒れずに済んだ。

は千寿郎に両手を伸ばし、"いい?"と聞き
返事を待たずに抱きしめた。

つよく、つよく…。

わっと、千寿郎も彼女を抱きしめかえした。
目に涙があふれる。




「仲が良いな、俺も入れてくれないか?」

「兄上」
「杏寿郎さん」


今が千寿郎を抱きしめたのを見届けた杏寿郎は、
今朝の自分との抱擁は、にとっては別に特別なことではない…ということを知るのに十分だった。


「む…」


…動揺している自分に気がつき、なんとなく居心地の悪さを感じてしまう自分が口惜しい…。





「さん、なにか食べられそうですか?」

「あ、うん…!実はとってもおなかが空いていて…。千寿郎くんのご飯が食べたいわ…」

そう眉をハの字にして千寿郎にお願いする。

千寿郎も 任せてください! と言い残し、部屋から出て行った。


残された杏寿郎との間に、少しの沈黙が流れた。




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