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【鬼滅の刃/煉獄】真冬の夜の夢

第14章 琴線に触れる






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ふと目が覚めた。

まだ朝日は出ていないようだが、外から入ってきた光で部屋の中が明るくなってきた。



「…ぃゃ……ゃだ……」


隣で眠る。
またうなされている。

怖い夢でもみているのだろうか、
俺の手を強く握り返す彼女が心配で、無理やりにでも起こそうかと思った時…



「…にぃ…さ、ま……」


"兄さま" …と言ったのだろうか、
俺は彼女に伸ばしかけた腕を止めた。
の瞑った目から、涙がぽろぽろとこぼれてくる。



「……倫也…兄さま…!」


「…!」


はっきりと、"ともや兄さま"と言った彼女はついに目を覚ました。

だがその目は虚ろで、まだ微睡みにいるようだ。


「大丈夫か?……倫也兄さま、というのは君の兄か…?」


…この事もお館様に報告しなくては…。


「…うん……ううん……わからない、わからないの………なにも……」

は首を左右に振り、頭を抱えてしまった。

今の今まで脳裏に浮かんでいた人の顔が、霞んでいくように消えていく…。思い出せないのだ。



「…っ、すまん。……良かった、目覚めてくれて…。本当に良かった。」

「……杏寿郎さん…」


はまるで今俺に気がついたようで、
そこにはいつもの彼女の柔らかい表情があった。

が"戻ってきた"と確信でき、ほっとした。



「…杏寿郎さんは、いつも…私をおそろしい夢から連れ戻してくれるのね…」


のその声は、聞き取るのがやっとだった。

おそろしい夢?


「それはど…「杏寿郎さん…!千寿郎くんは?無事でしょうか…!」


それはどういうことなのか聞き返そうとしたところを彼女に遮られてしまった。

昨晩のこともあってか、俺の手をとって真剣なまなざしで訊ねるに、鼓動が跳ねた。





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