第14章 琴線に触れる
(視点)
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「…ぐすっ……えぇん…」
……女の子の泣き声…で、目が覚めた。
今まで眠っていたようだ。
でもここは…古いお寺のような……
雨が降っているようで空気がじめじめとする。
部屋も薄暗く気持ち悪い。
「……!」
手足に違和感を感じて視線を落とすと、両手、両足とも縄で縛られていた。
「なっ…」
「おらっ!うるせぇぞ!!」
バチン!と、知らない、大きな男が泣いている女の子を叩いた。
…この状況は…?何が起こっているの…
私はさっきまで確か……誰かと…どこかに………
……あれ…?
そう、わたしは…今日、
お兄さまが遊んでくれなかったからひとりで外を散歩していて…道に迷ってしまった時に男の人に声をかけられてお菓子をもらって…それを食べて……
…気がついたらここにいて……
ここまで記憶をたどると、それまでぼんやりとしていた頭が冴えてきた。
視線を手元から上げ、室内を見渡す。
そこには私のほかに、静かに泣いている子、眠っている子の
数人の子どもがいた。
みんな女の子だった。
"逃げなくては"
直観的にそう感じ、体がぶるっと震えた。
「…ひっく……おかあさん……」
「てめぇ、だまれっつてんだろ!!」
「きゃぁ!」
男が、さっきの泣いていた子にまた拳を振り上げた。
今度は平手ではなく、拳は握られていた。
"…助け…なくちゃ…わたしが…"
ブチ゛ッ…
「…………………は?」
男がこちらを振り向き間抜けな声を上げる。
わたしが自分を縛っている縄を引きちぎったのに驚いたらしい。
「…おい、お前…お前だよ…!何してんだよ」
立ち上がったわたしに向かって、男がやってくる。
「…お前っ向こう向いて座れ…っ!」
わたしの肩に手をかけようとした男が後ろによろけ、尻もちをつく。
わたしは飛び、男の顔に拳を食らわせていたのだ。
…右手が少し痛い。
足元の床がくぼんでいる。
今の踏み込みだろうか…まさか。
「…っく…て、めぇ…!」
男は自分の鼻から垂れる血を拭いながら立ち上がる。
わたしも男を見据えた。
もう恐怖はなかった、むしろ……