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【鬼滅の刃/煉獄】真冬の夜の夢

第14章 琴線に触れる




(三人称)



時が止まったかのような静寂。

刹那、ヒュン…と と鬼は姿を消した。

正確には消えたのではなく、互いが一瞬で距離をつめたのだ。

の拳を避けた鬼は、彼女の体制を崩そうと低い蹴りを横から入れる。

「くっ…!」

避けきれなかっただったが、そのまま地面に手をつき体を一回転させ距離をとった。


両足が地面をすべり、砂埃が舞う。

少しよろける。

それを鬼は見逃さなかった。


「さん…!!」

千寿郎が木陰から叫ぶ。

の反応速度が明らかに落ちていたのだ。

きっと毒のせいだろう。


ひぇぃっ!という鬼の笑い声と、さんの左手首が掴まれたのは同時だった。


バッ…パキパキ…

「うっ…ああぁぁぁあっっ!!!!!」


骨を折られ、あまりの痛みから逃げようと体をよじり、苦痛に顔を歪めた。

鬼はの手首を掴んだままの親指の爪で、腕の肉を抉る。

たらたらと流れでる鮮血。

「くっ…はっ……」

それをべろりと目の前で舐められたは全身が震えた。

「やはりうまいな…。この味、昔味わった覚えがあるぞ…?…お前は……」


「…っ!だまれ…!」

鬼の顔めがけて振られたの右手も、簡単に捕まえられてしまった。


「ふっ、諦めろよ…。もうお前らは俺に喰われるしグォホっ!!!!」


「…!?」

一番客観的に見ていた千寿郎ですら、すぐにはわからなかったのだが、は両足で地面を蹴り飛び上がり、渾身の力で鬼を蹴飛ばしたのだ。

また鬼と距離をとっただったが、左腕の痛みに耐えきれず、片膝をついてしまった。

ぼやけた視界に千寿郎が映る。

(どうする…どうする…。このままじゃ千寿郎くんを守れない…。毒で、体を自在に動かせない……)

焦る。
毒もますます効いてきたようで、その顔色は夕日が当たってもなお蒼白だった。


…それでも鬼は待ってくれない。

はあっという間に戻ってきた鬼の攻撃を受け、近くにあった木の幹に体を思いきりぶつけ、意識を飛ばしてしまった。


「あぁっ!!さんっ!!!!」




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