第11章 仲間
(杏寿郎side)
型を褒めてからのの様子がおかしい。
俺と目を合わせようとしないのだ。
なりに、何か思うことがあったのだろうか…
この頃の彼女は本当によく頑張っている。鍛錬にも抜かりがないし、俺が教えたことをちゃんと体に落とし込んでいる。
今日の討伐は彼女の日ごろの成果だろう。日に日に成長を続けている。
(感心感心!)
先ほどから口数の少ない彼女の方を見る。
俺の視線に気づいているだろうに、きっと気づいていないふりをしているのだ。視線が泳いでいる。
…俺は、をどこまで育てることができるのだろう。
そして、いつまでこうして一緒にいられるのだろうか。
…ふと、そんなことが頭をよぎった。
も甘露寺のように、いつかは俺の元を巣立つ時が来るのだ。
それにお互い鬼殺隊員である以上、明日の命の保証はない。
もしかすると明日、いや、数刻後にでも、永遠に会えなくなる可能性も零ではないのだ。
…死は、怖くない。
ただ、今、と離れることとなったら、とても寂しい、悲しいと思うのだ。…なぜだろう。
「あれ?市街地だわ!明るい…」
「うむ、せっかくだから少し通りを歩いていかないか?まだ開いている店も多そうだ」
今日の任務があった山から家に帰るまでの間に、賑やかな市街地がある。
遠回りにはなるのだが、俺の足はそこに向かっていた。
とふたりきりでいられる機会は、滅多にない。
…もう少し…一緒にいてはいけないだろうか…。
煌びやかな街並みに目を輝かせ、純粋に感動しているを横目に見た。
土地勘のない彼女に、罪悪感がわいた。