第16章 新たな傷
ー月胡ー
休暇日が明け、午前中に翡翠が来た。
翡翠「先日はこちらの不手際で、不快な思いをさせて申し訳なかった。」
『…ご足労様です。』
正式な訪問だから、ちゃんと対応しないとなぁ。
翡翠相手だと、難しい…
翡翠「こちらは、お詫びの品です。
お納めください。」
『ありがとうございます!』
翡翠「…その態度はどうかと思う。
主に、俺が可哀想だ。」
『…で、本題は?』
長谷部にお土産を預け、宗近と二人で要件を聞く。
翡翠「今回の本丸は、審神者不在だ。」
審神者が不在?
何故、刀剣が存在出来るんだ?
翡翠「審神者の仕打ちに耐えかね、刀剣が殺した。」
『えっ…。』
予想外のヘビーな話だ。
それ程、耐えられなかったのか…
翡翠「肉体的虐待でな。
鶯丸・千子村正が討った。」
なんて事を…
『午後から行ってもいい?』
翡翠「準備は出来てるのか?」
『今日は新選組が居る。
長曽祢虎徹・和泉守兼定・堀川国広・加州清光・大和守安定で。』
宗近「月胡、俺も…。」
『急な出陣だから、宗近は本丸をお願い。
私が不在の間は、三日月宗近に任せます。』
宗近「…わかった。」
納得してないな。
でも、もしもの事があった時に任せられるのは宗近だけ。
『他の刀剣は?』
翡翠「太鼓鐘貞宗・物吉貞宗・亀甲貞宗。
…他は破壊されている。」
…審神者が生きていたら、私が殺してしまったかもしれないな。
翡翠「刀剣達は、人を寄せ付けなくなっている。
かろうじて俺が仮契約を結んでいる状態だが、いつ闇堕ちしてもおかしくない。」
新選組達なら、修羅場慣れしている。
彼らは大丈夫だろう。
翡翠「俺もついていくが…。」
『わかってる、手出しできないよね。
…本当なら、自分でやりたいんでしょ?』
だから、私に頼るんだよね。
翡翠、本当は審神者になりたかったのに。
『では、支度をします。
翡翠様、食事を一緒にどうですか?
当本丸の食事は、美味しいですよ。』
翡翠「ぜひ。」
新選組メンバーを呼び、説明をして。
それから、出陣メンバーで食事をして英気を高めた。
『さあ、行こうか!』
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