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月の雫

第15章 護られる事 護る事


ー髭切ー

今日ほど、自分の無力さ・無能さを呪ったことはない。
目を閉じると、月胡が自ら髪を切り捨てた場面が浮かび上がる。

ガンッ!

思い切り、壁を殴りつける。

膝丸「月胡に怒られるぞ、兄者。」

「…。」

膝丸「部屋へ戻ろう。」

弟は全て把握してるんだね…
そりゃ、そうか。
月胡ともだけど、僕とも繋がりが強いから。

「なんの為に一緒に居たんだか分からない。」

懐から月胡の髪を出す。
ついさっきまで…
月胡を艶やかに彩っていた…

膝丸「美しいな。」

「うん…。」

膝丸「兄者、月胡の気を感じるか?」

月胡の気?

膝丸「穏やかで清々しくないか?
月胡は何一つ後悔していないし、誰のせいにもしていない。
兄者が気に病んでいたら、悲しむんじゃないか?」

確かに、翳りは一切感じない。
むしろ、どこか嬉しそうだ。

『お邪魔しまーす。』

月胡が部屋に来た。

膝丸「月胡。
…似合うな、その髪も。」

『でしょ?
軽くなったよー。
髭切。』

「……。」

『こら、呼ばれたら返事!』

と、頬を包まれて無理矢理視線を合わせられた。

『髭切。』

「…なぁに?」

『似合うでしょ?』

「当たり前じゃない。
月胡なんだから、何だって似合うよ。」

『でしょ?』

と、ちゃめっけたっぷりに笑って言うから、つられて笑ってしまった。

『髭切、もう一度言わせてね。
私の心を護ってくれて。
そばにいてくれて、ありがとう。』

「月胡…。」

『これからも、一緒だからね。』

「…うん。」

『膝丸も。』

膝丸「もちろんだ。」

たまらなくて、月胡を抱きしめる。
そうしたら、今まで髪で隠れていた肩口が見えて…

ちゅ。

『Σ髭切っ!』

軽く吸い付いて、キスマークをつけた。

膝丸「兄者っ!!」

「だって、美味しそうなんだもん。」

キスマークを押さえながら、月胡がわなわなしてる。
うん、それくらいの方がらしいよね。

『髭切!道場に来いっ!!』

「えー?嫌だよ。」

今日くらい、僕が乱してもいいよね?
ねぇ、月胡。
本当に大好きだからね。




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