第15章 護られる事 護る事
ー月胡ー
今日は所用があって、政府に出向。
帰りに万屋に寄ると言ったら、今回は髭切が行きたいと言うので宗近に代わってもらった。
『何が買いたかったの?』
髭切「ん?別になにも。」
…えっ。
『何もないのに、来たの?』
髭切「買いたい物はないけど、月胡と一緒に万屋に来たかったの。
外での顔も見て見たかったしね。」
そういう事か。
ウチは宗近が近侍で固定してるから、本丸の外の仕事をしている様子は見れない。
『…で、どうだった?外での私は。』
髭切「なんだか、かっこよかったよ。
たぬき相手にも動じないで、堂々としていたし。」
そう見えていたんだ。
『惚れ直したか?』
髭切「うん、もっと好きになった。」
おっと…
冗談だったんだけどな。
でも、素直に嬉しい。
?「あの、月胡さんですよね。」
そんな話を万屋でしていたら、声をかけられた。
確か、審神者になる前に一緒に研修受けた事がある男性だな。
『ご無沙汰しております。
お元気そうですね。』
?「はい!月胡さんも。」
…苦手なタイプ。
距離感が近すぎるんだよなぁ。
そんなに、仲良くしてなかったよね?
?「立ち話もなんですから、どこかで座って話しませんか?」
『すみません、近侍も一緒ですし。
今日はこれで失礼します。』
?「そう言わずに…。」
と、私の手首を掴んできた。
うわ…生理的に嫌。
すると、
パシン。
?「いてっ。」
髭切が相手の手を払った。
髭切「断ってるんだから、もう諦めなよ。」
?「刀剣ごときが、口を出すなっ!」
カチン。
今のは、我慢できないなぁ。
『貴方は刀剣を“ごとき”と言うように扱われるんですね?』
?「そうでしょう?私達の道具…っ!!」
『それ以上の事を言うと…
髭切ではなく、私が容赦致しません。』
そいつの胸ぐらを掴み、ねじ上げる。
『彼は私の大切なパートナーです。
愚弄する言葉は、控えなさい。
それに…彼らは道具などではありません。
共に生き、戦うかけがえのない家族です。』
?「くっ…くるしいっ…。」
『…二度と、声をかけないでいただきたい。』
ぱっと手を離し、そいつに背を向けて立ち去ろうとしたら…
?「このっ…女のくせにっ!」
『いっ!』
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