第14章 二人きりの時間ー三日月宗近ー
ー月胡ー
宗近と同じベッドで寝た。
本当にそれだけだったけど…
[愛している…月胡を。
誰よりも、何よりも。]
眠ったふりをしていて、聞こえた宗近の言葉。
優しく私の心に染み渡った。
ありがとう。
そして、ごめん。
まだ、何も答えられない私を許して。
翌日、チェックアウトしてドライブへと出かける。
海沿いを走り、海産物をお土産に買って行こうと思って。
『みんな、好き嫌いないから助かるよね。』
三日月「そうだな。
まぁ、酒の好き嫌いはあるようだが。」
いや、それは和泉守が下戸なだけでは?
短刀達もイケる口だし。
さすが、御長寿。(ちょっと違うか)
この地の銘酒と言われる物も買ったし、充分だろう。
(足りないとは言わせない)
三日月「そろそろ、戻らないとな。」
『あれ?もうそんな時間か…。』
買い物して、美味しい物を食べて、宗近と楽しんでいたらあっという間に時間が過ぎていた。
『じゃ、政府に寄って本丸へ帰りましょうか!』
三日月「あぁ。」
政府へ向けて車を走らせ、翡翠の所へ行く。
翡翠「おかえりー。」
『ん。』
許可証と土産を翡翠に渡す。
翡翠「えっ…
お土産、買って来てくれたの?」
『いらなかった?』
翡翠「いや、予想外すぎて。」
『じゃ、返して。』
翡翠「やだよ!
月胡が何かくれるなんて…。」
『宗近、帰ろう。』
翡翠「ちょ!俺の扱いっ!!」
知るか。
沢山の荷物を抱えて本丸へ帰ると、長谷部が玄関で待っていてくれた。
長谷部「おかえりなさいませ、主。」
『ただいま。
政府から連絡来た?』
長谷部「はい。
荷物、運びますね。」
『広間にお願いします。
みんなへのお土産だから。』
長谷部「こんなに…ありがとうございます。」
荷物は長谷部に任せ、一度執務室へ行く。
三日月「俺は着替えてくる。」
『あ、待って。』
バッグから宗近に買った万年筆を出す。
『三日間、ありがとう。
これ、お礼。』
三日月「俺に?」
『楽しい旅だったね。』
その思い出に。
感謝を込めて。
三日月「…ありがとう。」
『ん。
着替えたら、広間へ行こう。』
三日月「あぁ、月胡。」
『なに?』
三日月「俺からも渡すものがある。」
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