第2章 審神者・始動
そう。
昨日の書類確認中に来たメール。
ー鍛刀にて髭切・膝丸の2振りを顕現せよー
まったく、ご丁寧に刀剣まで指定してくれて。
私が能力の持ち腐れではないかを確認する為だろうが、随分と意地の悪い…
他の本丸での鍛刀で顕現出来た資材の量も添付してあったが、それと私の念(?)だけで出来るものなんだろうか。
三日月「では、朝食後に行うか?
気力も体力も充分なうちの方が、確率も上がるだろう?」
『そうだね…。』
“翁は出来たのか?”
そう聞こうとして、やめた。
比べてどうなる事ではないし、やらなければならないんだ。
『まあ、やってやるさ。』
三日月「その意気だ。
さ、自室へいくのだろ?
時間になったら呼びに来る。」
『あ、大丈夫だよ。
厨の手伝いに行くから。』
三日月「手伝うのか?」
「うん。
私だって料理くらいは出来るんだよ?
それに、上げ膳据え膳ていうのは苦手。」
全ては無理でも、やれる事はやりたい。
『なにより、好きなんだよね。
家事とか。』
やっていると集中できて、無駄な事を考えなくなるから。
三日月「そうか。
ならば、止めまい。
俺は時間になったら広間へ行くとするか。」
宗近と別れ自室へ戻り、髪を結い上げて襷をかけて厨へと向かう。
『おはよう、燭台切・大倶利伽羅。』
光忠「おはよう、主。」
伽羅「…おはよう。」
光忠「その格好…
もしかして、手伝いに来てくれたの?」
『うん。
運ぶのでもなんでもするよ。』
伽羅「…料理は出来るのか?」
『基本的な事なら。』
伽羅「なら、俺を手伝ってくれ。」
『はい。
あ、そうだ。
光忠と伽羅って呼んでもいい?
宗近がみんなの事、呼び捨てで良いって言ってくれたって。』
光忠「もちろん。」
伽羅「俺も構わない。」
『ありがとう。』
2人を手伝いながら厨の事や、みんなの好き嫌いについてまで教えてくれた。
食事は主にこの二人が担当で、手が空けば誰でも手伝いに来るらしい。
そういうのって、いいな。
やれる事をやれる時にやれる人がやる。
私もそうしよう。
光忠「うん、主は手際がいいね。
今度は主の味を教えてよ。」
『わかった、光忠の時間がある時にね。』
伽羅「…俺にも。」
『うん、伽羅の好きな物も教えて。」
伽羅「あぁ。」
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