第2章 審神者・始動
青江との散歩を終え、自室にに戻る途中。
執務室前の縁側で宗近がお茶を飲んでいた。
『宗近、おはよう。』
三日月「おはよう、月胡。散歩か?」
『はい、祈祷に参加してから。』
三日月「そうか、そうか。こちらへ来て、じじいの茶に付き合ってくれぬか?」
『じじいって…。』
こんな美しいしじじいがいて、たまるか。
頭の中でツッコミつつ、宗近の隣に座る。
三日月「そうそう、みなから伝言だ。ー名は呼び捨てて、敬語もいらぬーだそうな。」
『えー…いいのかなぁ。』
三日月「そうしてやってくれ。みな、月胡の事が気に入ったようだぞ。」
『…嬉しいな。』
三日月「俺も、月胡が翁の後任で嬉しい。」
『宗近…』
涙が出そうだ。
昨日来たばかりどというのに、こんなに優しく受け入れてもらえるなんて。
三日月「俺達は末席とはいえ、神。
そして刀だから気配などにも敏感だ。
だから、月胡の霊力や気配でどんな人物なのかはだいたい解る。
それに…」
『それに?』
三日月「翁に言われたのだ。
月胡を頼む、と。
あの翁にそこまで言わせたのだ、間違いないだろう。」
『翁…』
翁は強い力を持ってた。
それに見合った人格も兼ね備えていて。
私も力だけなら翁には負けないが、それだけでは駄目なのだと気付かせてくれた。
力のある者には責任がある。
正しく使わなければならない。
みんなを導かなくてはならない。
刀剣は主を選べないのだから、彼らに後悔させてはならない。
『正直、怖いよ。』
三日月『月胡…。」
『だから、助けて欲しい。
間違わぬように。
間違っても、正しい方へ導いて。
…闇に飲まれないように。』
三日月「任せておけ。
何があっても俺は、月胡と共にある。
1番の味方でいよう。」
『うん。』
三日月「では、そろそろ近侍として働くとするか。
主、今日の予定は?」
『政府からの依頼で、鍛刀を2振り。』
三日月「2振りもか?」
『私の力を試したいのでしょう。
刀剣も指定されました。
…その通り顕現出来るかどうか。』
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