第14章 二人きりの時間ー三日月宗近ー
政府の地下駐車へ行き、愛車に乗り込む。
久しぶりだな…
三日月「これが“車”か。
小さな部屋のようだな。」
『そうだね、移動できる部屋と言ってもいいかもね。
車酔いっていうのがあるから、体調がおかしくなったらすぐに言ってね。』
三日月「わかった。」
『では、出発!』
車をゆっくりと滑らせる。
地下から出ると、都会の景色が一面に広がった。
三日月「建物が高く、密集しているな。」
『すごいよね。
私も初めて見た時、驚いたなぁ。』
霊力のコントロールを身につけてからだったから、15歳くらいだったかな。
人がこんなに居るんだって、衝撃を受けたっけ。
それまでの私の世界は狭かった。
まだまだ、知らない事ばかりだけど。
それを知る事が楽しくて嬉しい。
『今日行く所も、初めてなんだ。』
三日月「…月胡と初めてを共有出来るとは、光栄だな。」
『…私もだよ。』
今日の場所を決めたのは、宗近と一緒に見たいと・体験したいと思ったからだ。
宗近ありきで、決めた場所。
貴方が居なければ、完成しない。
『ホテルにチェックインしたら荷物と車を置いて、電車に乗るよ。』
三日月「わかった。」
この辺り一帯が観光地になっていて、海沿いに電車が走っている。
歴史あるものと新しいものが共存していて、興味深い。
今回はその中にあるホテルを拠点にして、三日間過ごそうと思う。
三日月「車と同じ所を電車が走っているな。」
『あれに乗るんだよ。
うわぁ…早く乗りたい!』
ガイドブックやテレビの特集で見た物が、目の前にある。
早くその中に浸りたい。
チェックインを終え、部屋へと案内される。
『わぁ…。』
オーシャンビューの素敵な洋室だ。
ベットルームは別になっていて、こちらも海が望める。
三日月「洋風なのだな。
寝室…一緒で良かったのか?」
『ベッドは別だから。
宗近は誰かと一緒だと眠れないの?』
三日月「いや、そういう意味ではなかったのだがな。」
『ん?』
三日月「いや、そろそろ行こうか?」
『そうだね!』
荷物を置いて、駅に向かって歩く。
天気が良くて、海風も心地良い。
宗近もそう思っているかな?
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