第13章 幸せな悩み事
そうか、蜂須賀たちは知らないのか。
『色々と想定して訓練されたんだ。
だから、大抵のことには動じないよ。
動揺は隙を与えることになるからね。』
蜂須賀「それでは気が休まらないな…。」
『それも訓練済み。
洗濯物、終わったね。
じゃ、執務室に戻るよ。
鶴丸は明日、道場に来い。
ペナルティーだ。』
鶴丸「…マジか。」
和泉守、命拾いしたな。
明日の獲物は鶴丸に変更だ。
蜂須賀「剣術もこなすのか?」
『嗜む程度?』
鶴丸「どこがだよっ!暗殺剣だぞ!?」
『今夜、ヤッて欲しいの?』
鶴丸「字面が怖い…。」
今剣「蜂須賀さん、あるじさまはご自身を守る為に身につけられたそうです。
…ものすごく、強いんですよ。」
蜂須賀「こんな可憐な方なのに?」
蜂須賀…
後で飴ちゃんあげる。
鶴丸「黙っていれば、なっ!!」
言いかけた鶴丸の背後に周り、懐刀を首に突き付けた。
(鞘のまま)
『黙るのは鶴丸かな?』
鶴丸「ごめんなさい。」
全く。
最近、刀剣達の私に対する扱いが時々酷い。
まぁ、そんなのも心地良いけど。
蜂須賀「凄いね。
今度、俺とも手合わせ願おうか。」
『いつでもどうぞ。』
刀剣と手合わせするのは、楽しい。
剣に性格が出ているというか、話すよりわかりやすい。
さて、長居をしすぎた。
宗近が待ってるな。
『戻ったよー。』
三日月「ちょうど茶を煎れた所だ。
飲みながらするといい。」
『ありがとう。』
残りの仕事をし、今日は早めに休むよう言われた。
今日無理をすると、ぶり返してしまうもんね。
ゆっくりと湯につかり、ぼーっとする。
[自分の身は自分で守れ。]
[女なんだから、隙を与えるな。]
そんな事を教えてくれた奴と、夜伽をさせられて。
いや、納得していたけどね。
納得してないと、自分が壊れる。
『今度は気持ちの通じ合ったものにしたいなぁ。』
触れ合う事は嫌いじゃない。
求められるのも。
…今はまだ、その時ではないけど。
愛だ恋だは、まだ駄目だ。
今は本丸を立派にしなくては。
政府からなにも言わせないくらいの力をつけて、刀剣を護るんだ。
…私が居なくても良いくらいに。
いや、居なくならないけどね。
それくらいの覚悟って事。
.