第12章 こんな日もあります
ー膝丸ー
約束通り、翌日の朝早くに月胡の部屋を訪ねた。
「失礼する。」
三日月「おはよう、膝丸。」
どうやら、寝ずに看病したようだ。
顔に疲れが見える。
「おはよう。
三日月殿、休んでくれ。」
三日月「すまぬな。
月胡の熱は、少し下がった。
呼吸も落ち着いて来ているから、快方へ向かってるだろう。
もう少ししたら、薬研が来る。」
「わかった。」
三日月「では、よろしく頼む。」
「あぁ。」
確かに、昨日より顔色がいい。
そっと、月胡の頬に触れる。
まだ、いつもよりは熱いが…
月胡の体温は安心する。
『膝丸?』
「そうだ。
おはよう、体調はどうだ?」
『まだ、少し怠いかな。』
「間もなく薬研が来るそうだ。
薬をもらおうか。」
『薬研の薬、効くんだけど苦いんだよな…。』
子供みたいな事を言って…
可愛いな。
「燭台切に甘い物を作ってくれるよう、頼んでくる。
だから、我慢して飲むんだ。」
『はーい…。』
「素直でよろしい。」
頭をそっと撫でてやると、気持ちよさそうに目を閉じた。
そのまま静かに寝息を立て始める。
やはり、辛いのだな。
代わってやれればいいのに…
思えば、月胡が審神者になってから休んだ事あっただろうか?
休暇日を設けているとはいえ、月胡はなんだかんだで仕事をしている。
それに、こんな男ばかりの所では休まらないのでは…
少し、一人になって休む事も必要かもしれないな。
何も気にせず、ゆっくりと…
「こんのすけ。」
こんのすけ「はい、お呼びですか?
…って、主さまっ!?」
「疲労からの風邪だ。
昨日から寝込んでいる。」
こんのすけ「そうでしたか…
快方へむかっておるのですか?」
「あぁ。
それで、こんのすけ。
月胡を一人でゆっくり休ませてやりたいんだが。」
さっき思った事を聞いてみた。
こんのすけ「可能かと。
しかし、刀剣男士一名の付き添いは必要となります。
そこは、譲れないかと。」
「そうか…
月胡が治ったら、相談してみる。」
こんのすけ「こちらも、話を通しておきますね。
主さまは沢山、頑張って下さいましたから。」
「そうだな…
頼んだぞ、こんのすけ。」
刀剣男士一名の付き添い…か。
荒れそうだな。
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