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月の雫

第12章 こんな日もあります


ー髭切ー

月胡が僕達との繋がりを遮断して、体調不良を隠していた。
僕は怒りよりも悲しみの方が大きかった。
月胡の部屋へ行った時、伝えたら涙が溢れそうだったから一旦退室したけど…
辛そうだったな。
病だろうと、なんであろうと。
月胡を苦しめる物から守りたいのに。
そう伝えて来たのに、月胡は…

膝丸「兄者。」

「…戻ったの?」

膝丸「あぁ。
明日は俺が月胡の世話をさせてもらう。」

「そう…。」

本当は月胡の様子を聞きたいけど、なんか癪だな。
後で出直すとも言ったし、自分で確認しよう。

…そうだ。

「万屋へ行ってくる。」

膝丸「気をつけてな。」

さすが、弟。
何故行くのか、分かってる。

熱がある時は、冷たい物が欲しいよね。
月胡の好きなさっぱりした物…
どんな物があるかな…
冷蔵・冷凍の辺りを何往復かして決めた物を抱え、気持ちも落ち着いたから月胡部屋を再び訪ねた。

「様子はどう?」

三日月「熱がまだ下がらないな。
食事も少ししか食べられなかった。」

『…髭切、来てくれたの?』

「うん。
目が覚めたんだ。」

『髭切の気配がしたから、話したくて。』

…可愛いことを言って。
でも、まだ駄目。

「話は治ってから。
これ、食べれるかな?
レモンシャーベット。
さっぱりしたの、好きでしょ?」

『嬉しい…好きなんだ。
宗近、食べても良い?』

三日月「あぁ。
髭切に食べさせてもらうといい。」

三日月、いい事を言ってくれるじゃないか。

『えっ!?
自分で食べられるよ!』

三日月「病人は素直に甘えろ。
髭切、ここに座って食べさせてやるといい。
俺は少し、席を外させてもらう。」

「ありがとう、三日月。
さ、月胡。あーん。」

『///ん。』

熱で赤くなった頬をさらに染めて、口を開けた。

『美味しい…。』

「まだ、食べられそう?」

『うん、全部食べる。』

うん、無理はしてないね。
本当に食べたいって、ちゃんと伝わって来た。
やっぱり、可愛いな。
誰にも譲りたくない。
俺だけの月胡…



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