第12章 こんな日もあります
髭切「月胡っ!何してくれてるのっ!」
膝丸「全くだ!」
「こらこら、病人だぞ?
治ってからにしろ。」
膝丸「あぁ、そうだな。
失礼した、三日月殿。」
気持ちは分かる。
俺だって、言ってやりたい。
膝丸「ただの風邪のようだな。
良かった、前のように呪いの類でなくて。」
髭切「…僕は納得してないから。
ここに居るといろいろ言いそうだから、また後で来る。」
膝丸「あっ、兄者!」
髭切があんな風になるとは、よほど怒っているな。
「わかったか?月胡。」
『…わかった、ごめんなさい。』
膝丸「心配くらい、させてくれ。
せっかく、月胡の刀剣として居るのだから。
三日月殿、明日は俺に世話をさせてくれぬか?」
「わかった。
月胡もいいな?
完治するまでは、大人しく俺達の言うことを聞け。」
『…はい。』
膝丸「お大事にな。
では三日月殿、よろしくお願いする。
後で兄者が来るだろう。」
「あい、わかった。任せておけ。」
ふむ。
弟の方が冷静だな。
まぁ、良いバランスという事か。
『寝て、朝になれば治ると思ったの。』
「いつから体調が悪かったんだ?」
『二日前かな。
喉が痛み出したの。』
全く。
「それをしたのが俺達だったら、激怒したろう?」
『うん。』
「…もう休め。
次に髭切が来た時に、話せるようにな。」
『はい。』
反省したようで、抵抗することもなく目を閉じた。
月胡のベッドの側の椅子に座り、近くにあった本を手に取る。
推理小説か。
また、月胡らしい本だ。
シリーズもので、少し恋愛要素も含まれているな。
お互いが思い合っているのに、お互いを想うが故に気持ちを告げられない…か。
月胡にもそんな相手が居るのか?
その相手と添い遂げる時に俺は…
素直に祝福出来るだろうか。
…出来る出来ないではないな。
祝福“しなければ”ならないんだ。
まだまだ、そちらの方は修行が必要そうだな。
「なあ?月胡。」
『………。』
お前は誰を選ぶのだろうな。
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