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月の雫

第11章 穏やかに賑やかに


三日月「月胡。」

宗近が、優しく微笑む。

一期「主。」

一期が私を迎えに来て、二人の前に連れて行く。

前田「月胡さま。」

後藤「月胡。」

『いいの?
本当に、私の刀剣になってくれるの?』

前田「貴女の刀剣に、なりたいのです。」

後藤「月胡の物にしてくれ。」

『一期…』

一期「私はまだ、彼らに説得などしてないんですよ?
二人が主と契約したいと言うので、連れてきました。
二人と私の希望を叶えて下さらないのですか?」

『ありがとう…ございます。
…前田藤四郎、私の手を握って下さい。』

前田「はい。」

両手で前田の手を包み込む。

『前田藤四郎。
貴方を我の刀剣とする。』

前田「はい。」

次は後藤。

『後藤藤四郎。
貴方を、我の刀剣とする。』

後藤「はい。」

そして、二人の手をとり契約を結ぶ。
昨日は冷たかった二人の手が、とても温かい。

『どんな事があっても、貴方達を護ると誓います。
ありがとう、私を選んでくれて。』

後藤「泣くなよ、大将。」

前田「主さまの笑顔が見たいです。」

「ん…
幸せになろうね。」

私が幸せにするからね。

三日月「良かったな、月胡。」

『…宗近、そっちに行ってもいい?』

三人が執務室から部屋に戻った後。
どうしても涙が止まらなくなってしまった。

三日月「良いぞ。」

宗近の隣へ座り、その胸へと抱きついた。

三日月「おっと。」

予想外だったのか、珍しく宗近が驚いている。

『嬉しいよ…
あんなに苦しんだのに、また誰かの刀剣になる事を選んでくれて。』

三日月「誰かではなく、月胡の刀剣に、だろ?」

『うん…。』

三日月「二人でこんなに喜んでいては、残りの刀剣までもたぬぞ?」

『それはまだ、わからないよ。』

三日月「どうかな?」

今は、いいの。
前田と後藤が選んでくれた事が、嬉しいの。

でも、例え私が選ばれなくても、彼らが自ら考えて選んだ道なら私は歓迎するよ。
応援する。
これからは、望むように生きれば良いのだから。

三日月「月胡は欲がないなぁ。」

『えー?強欲だよ?
みんなが幸せになって欲しいんだもの。』

三日月「それには、月胡が幸せでないとな。
少なくとも、俺は幸せになれぬよ。」



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