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月の雫

第11章 穏やかに賑やかに


ー月胡ー

さて、今日も一日がんばりますか。
ジャージに着替えて日課をこなし、執務室に居ると宗三が朝食を運んできてくれた。

宗三「食事を持って来ましたよ。」

『ありがとう、宗三。
って、二つ?』

宗三「私もご一緒していいですか?」

『もちろん!嬉しいよ!!』

一人ご飯を覚悟していたから、嬉しいサプライズ。

宗三「食事の時に、交代で持って来て一緒に食べる事にしたんです。
小夜が考えてくれたんですよ。」

『小夜が!?』

優しいな…
胸の奥が、ジンと温かくなる。

『ごめんね、私のわがままなのに。』

宗三「優しい、わがままですね。」

もう…

『宗三はどう?
本丸には慣れた?』

宗三「はい。
小夜が良くしてくれますし、皆親切です。」

『良かった…。』

朝から幸せで穏やかな時間を過ごせたな。
執務時間になると、宗近が来て仕事のスタート。
庭からは藤四郎兄弟や短刀達の遊ぶ声がして、心地よいBGMだ。

コンコンコン

『どうぞー。』

一期「失礼します。
さっ、こちらだよ。」

前田「失礼します。」

後藤「お邪魔するぜ。」

『目が覚めたのですね!
体調はいかがですか?
不自由はありませんか?』

前田「はい。
あの、ありがとうございました。」

後藤「本当に、感謝している。」

『…ごめんなさい。』

前田・後藤「えっ!?」

『同じ審神者として…
人として恥ずかしい。
辛く嫌な想いをさせて、本当にごめんなさい。
今はゆっくりと、好きな事をしてお過ごし下さい。』

距離を保ったまま、話をする。
失礼かも知れないけど、今はそうさせてもらう。

『一期、よろしくね。」

一期「主。」

『なんですか?』

一期「前田と後藤は、自らの意思で会いに来たのです。」

一期が連れて来たんじゃないの!?

後藤「そうだぜ。
なぁ、アンタのこと“大将”って呼んでもいいか?」

『そんな…
急がなくて良いのですよ?
もっと、じっくり、落ち着いてから…』

前田「えぇ、落ち着いてます。
主さまのおかげで、心身ともに僕達は癒されました。
助けに来てくれたのが貴女で良かった。」

…そんな……
そんなすぐに決めて良いの?
まだ、癒えない傷があるんじゃ?



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