第9章 これもお仕事
翡翠「お前が行かないと、相手の審神者は止められないだろう。
捕縛出来たら、俺が受け取る。」
『翡翠が付き添うんだね。』
翡翠「あぁ。」
『…報酬は?』
翡翠「あの本丸の刀剣が希望すれば、連れて行っていい。」
『おー、随分豪華だね。
やる気が出て来たよ。
宗近、いいかな?』
三日月「もちろんだ。」
翡翠「では、明朝そちらに伺う。」
『よろしくお願いします。』
翡翠「…で。
今日の服装は、三日月セレクト?」
『そうだよ。』
三日月「良く似合うだろ?」
翡翠「うん、月胡の事わかってるねー。」
お前は全然、わかってないけどな。
『ねぇ…翡翠。
他にもこういう本丸ってあるの?』
翡翠「おそらく。
まだ、完全には把握しきれてない。
今日の懇親会は様子見も兼ねていたんだ。」
『刀剣を私物化なんて、吐き気がする。』
彼らは主に逆らうなんて、出来ないのに。
強制される夜伽など、苦痛でしかない。
さっき見た蜂須賀虎徹の目…
光がなかった。
争う事も、考える事もやめてしまった。
諦めてしまったという感じだったな…
『彼らは誰かの刀剣になる事を拒むかもしれないね。』
翡翠「かもな。
だったら、どうする?」
『手入れだけさせてもらって、彼らの意思を尊重したい。
…刀解以外なら。』
彼らに、幸せになってもらいたい。
せっかく、顕現されたのだから。
そして、ウチを選んで欲しいな。
ウチの本丸には、彼らの兄弟も居る。
兄弟が揃っている来派の刀剣達は、揃って幸せになって欲しいもの。
『でも、無理強いは絶対にしない。』
翡翠「…わかった。
じゃ、もう帰りな。
君の刀剣達が待ってるよ。
あと、これ持って行って。
この間のお詫び。」
『これは…
並ばないと買えない、有名店のケーキ!
ちゃんと人数分ある!!
でかした、翡翠。』
翡翠「ねぇ、俺が上役だって覚えてる?」
『宗近、これ本当に美味しいんだよ!
みんなで一緒に食べようね!』
翡翠「ねえ、聞いてる?」
三日月「そうだな。
ならば、早く帰るとするか。」
翡翠「月胡?
ねぇ、月胡ってば!
おーいっ!!
…あの主にして、あの刀剣だな。
二人して、完全無視だよ。」
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